Excel 2007のワードアート

1.2007ワードアートの基本的な考え方

Excel 2007のワードアートは、Excel 2003までのそれとは(まったくの、とまでは言いませんが)別物と考えたほうがいいでしょう。
マイクロソフト社のWebサイトでは、ExcelとPowerPointのワードアートについて、「2007では新しい描画エンジンを採用している」と説明していますが、具体的にはどのように違うのでしょうか?

まず基本的な考え方として、2003以前のワードアートが、「ワードアート」という名の独自の描画オブジェクトであったのに対し、2007ではこの「独自の描画オブジェクト」そのものが使われなくなっている、と言えます。
それでは2007のワードアートの“正体”は何なのかというと……簡単に言ってしまえば、「図形内テキストに対する書式効果の総称」です。

Excelでは、もともとテキストボックス以外の、四角形や楕円といった図形の中にもテキストを追加することができました。このテキストにはいろいろと書式が設定できますが、その内容は、セルの書式と同様、フォント名、フォントスタイル、フォントサイズ、フォントの色といったごく基本的なものだけでした。

Excel 2003で図形内テキストに設定可能な書式。

Excel 2007では、これらの基本書式以外にも、「テキスト効果」と呼ばれる凝った書式が設定できるようになりました。この文字装飾の機能が、すなわち2007における「ワードアート」というわけです。

Excel 2007で図形内テキストに設定可能な書式の例。

なお、この文字装飾の機能は、セルに入力された文字列に対しては使用できません。

Excel 2007で新しくワードアートを作成する場合、通常は、リボンの[挿入]タブ→[テキスト]→[ワードアート]から、挿入したいワードアートのスタイルをクリックします。

Excel 2007でワードアートを作成。

これで作成されるワードアートの名前は、「正方形/長方形 1」などになっています。これは、リボンの[挿入]タブ→[図]→[図形]から[正方形/長方形]を選んだ場合と同様です。

Excel 2007で作成されたワードアート。

要するに、Excel 2007で「ワードアート」として作成されるのは実は「正方形/長方形」(Excel 2003でいう「四角形」)であり、それにあらかじめ「ここに文字を入力」というテキストが入力され、その文字に選択したテキスト効果が設定されている、ということです。さらに言うと、この「正方形/長方形」では、塗りつぶしや輪郭線などの設定がすべて「なし」になっています。
リボンの[挿入]タブ→[図]→[図形]から作成した他の種類の図形に対しても、テキストを追加することはできますし、入力した文字に対して、同様のワードアートスタイルを適用することが可能です。

2.ワードアートの互換性と注意点>